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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2004年2月のニュース一覧
▼[2004.02.29]土星のリングと
▼[2004.02.27]片思い
▼[2004.02.25]mireille rondo
▼[2004.02.23]チェックメイト・テンポ
▼[2004.02.21]日常生活と身の丈
▼[2004.02.19]gigs note
▼[2004.02.17]mini to go.
▼[2004.02.15]商売,売るべきものは
▼[2004.02.13]寂しさのなかの人間
▼[2004.02.11]あしたが来る前に
▼[2004.02.09]大戦のあとさき
▼[2004.02.07]騒雑の無音
▼[2004.02.05]図書館員の目鼻手のひら
▼[2004.02.03]いま,がむしゃらに
▼[2004.02.01]はじまりのいま

■2004年03月のニュース一覧
■2004年01月のニュース一覧


 
[2004.02.29]
  土星のリングと


 ▼土星を鮮明に撮影 米欧の無人探査機(Sankei Web)
  http://www.sankei.co.jp/news/040228/kok050.htm


 「土星のリングは,内側と外側と2つにわかれているようにみえます。間に黒いすき間がある。そのすき間は発見者の名をとって『カッシーニの間隙』と呼ばれます」。「かんかく?」「いえ,かんげき,です」。

quote:NASA(米国航空宇宙局)は,無人土星探査機カッシーニによるこれまででもっとも鮮明な土星写真を公開した。土星から約7000万kmの距離からの高分解能カメラでの撮影(NASAのページ拡大写真)。

 「さて,あの土星のリング,どれくらいの厚さだと思いますか?」「えっと…,あのリングって氷がごろごろと転がっているんですよね?」「そうですね」「と云っても,土星って地球の10倍ぐらいの大きさでしょ? あんなにはっきりくっきりしているってことはそれなりに厚くないとおかしい。数kmか数10kmか…それくらいの厚さがあってもおかしくない。…あっ,でもちょうどリングが地球からみて水平になったときに,薄くてほとんどみえないことがあったって聞いたような…」「そうですね。いまだ厚さはきちんとわからず,諸説あります。ですが,とても薄いと云う人たちの意見では,約10mほどではないかと云われます」「10m…」「そう云われてもう一度土星の写真をみると,不思議ですね。あなたの身長の6倍ぐらいの厚さしかないなんて。だから真横からみたらほとんどみえない。でも,わたしたちは土星をみると,きちんとリングがみえる。今回の探査機,カッシーニによって,リングの詳細もわかるでしょう。神は,みえる謎を残していた。その謎が解き明かされるのかもしれません」。

 「わたしはね,思うんですよ」「はい?」「わたしはずっと,子どものときから夜空を見上げ続けている。でも,わかることはホントにわずかしかない」「はぁ,そうですね」「土星のリングの厚さなんてことも,たくさんのわからないことの,ほんのひとつでしかない。でも,それを求めて一生を終えてしまう人も,天文学者のなかにはいる」「なんか,寂しいですね」「そうです。でも,神が与えてくれた謎に,大きい小さいはない。そう考えると,その学者の一生は幸せに満ちている」「星空に,意味を持てるか,ということですか?」「そもそも人間にとってわずかな光の星に,たいした意味はないんですよ。だから,人間ではなく,もっと違う,なにか,その思いで夜空を見上げるんです。そうすると,夜空に星があること,そのもとで人として生きること,そして死ぬこと,それらがいとおしくなる。……あ〜,ちょっと無駄口がすぎましたね,すみません」「……いえ,なんか,わかる気がします」。




 
[2004.02.27]
  片思い


 ▼Students warm to Wi-Fi interaction(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/content/69/35853.html


 「ボクが師匠と思っていた人は,よく云っていた。たとえ決めた女がひとりいても,ずっと想う人を残しておけ。初恋の人でもいい,テレビのなかの人でもいい,誰でもいい。ただ,想うしかない人を胸に残しておけ。それだけで,もっときちんと生きていける」。

quote:Wi-Fiによる無線通信が人間関係にどう影響するか調査する実験が,ダブリン大学で行われた。20人の参加者は,Wi-Fi接続できるPDAと携帯電話を渡され,使用できるフォーラムが設けられた。ある学生は,同じ場所にいたり,同じ時間にオンラインにいる必要がないフォーラムによって,いままでにないコミュニケーションが生まれたと述べる。ウェブをみるために,図書館やコンピュータ室に足を運ぶ必要もなくなった。今年後半には,100人以上での再実験が行われる。

 「キミに出会う運命はなかったんだろう。おんなじ大学に通ってたって,ここの大学では学部が違うと校舎も遠く離れてしまうことが多い。絶対午前中になんか授業を入れないボクと違って,午前にびっしり授業を入れているキミはまだ日が高いうちに校舎を離れる。だから昼休みに,離れた場所にいるキミと出会ったのは,かなりの偶然だったんだろう。ただ,キミもボクもiBookを持ち歩いて,iChatのランデブーに相手が表れただけなんだ。

 ボクらがあえてリアルで会わなかったのは,なんでだったんだろう? たまにiBookを脇に抱えた女の子がいたけど,別に確認する必要は感じなかった。彼女がチャットでいまみている風景を話しているとき,振り返れば視界に入ってしまうと思ったときもあった。でも,ボクは振り向かなかった。チャットでなんか,好きだとか,愛してるとか云えない,それがボクとキミの共通認識だった。そして,ボクはそれで十分だった。実は,そんな片思いをしてみたかったのさ。思っても思ってもかなわない,かなえようもない,テレビのなかの女優やアニメキャラが好きな友だちはいっぱいいて,それと同じことがしたかった。絶対にかなわない恋をずっと胸に持ち続ける,そんな一時期を過ごすことは,とても大事なことだと思ったから。だから,ボクはキミに片思いをしている,Wi-Fi越しに」。




 
[2004.02.25]
  mireille rondo


 ▼「オンラインゲーム世界での会計ツール」市場に目をつけるIBM(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20040224105.html


 ミレイユさまのお言葉(^^ゞ(ガセです。

quote:IBM社のBIG計画は,オンラインゲームでの会計処理を手助けする計画だ。これによってゲーム会社は,ゲーム内のバーチャル商取引から現実世界の現金を生み出す手助けもできそうだ。取引状況のチェックをし,ユーザーが料金を支払えば,新しい武器や力が手に入れられるようにするのだ。

 「悩んだり苦しんだりしてすむのなら,なんだってする。そのためにここにいるんだし,それはお金ですむことぢゃないヨ」。「凰花はボクより何倍も強いけど,その強さがお金で買ったものだとしたらどうする? ボクは,…ちょっと距離をおいちゃうかもネ」。「ボクは情報を得るためにレアアイテムを使うことはあるけど,本物のお金が欲しくってレアアイテムを使うことなんかない。アイテムは,お金より価値があるもん。でしょ?」。「ボクは,…シューゴの腕輪は欲しいけど,でも手に入れる手段がないならあきらめると思う。たとえば情報と引き換えにくれるんならもらうけど,お金と引き換えなら欲しくない。ボクは,ゲームのためにここにいるんだしね」。

 「1000円札とか100ドル札で買えるアイテムに,レアアイテムなんてないよ」。「『星の王子さま』に出てくるキツネが云ってた。『肝心なものは目にみえない』って。レアアイテムのレアな部分って,お金ぢゃ買えないんだよ。わかる,よね?」。「凰花が云ってただろ? 『ザ・ワールド』はいいゲームさ。だから,手に入れる方法がないアイテムはない。ボクが『ザ・ワールド』を好きなのも,そうだからさ」。(refer to 『.hack//黄昏の腕輪伝説』依澄れい)




 
[2004.02.23]
  チェックメイト・テンポ


 ▼RIAAは暴力団? 提訴された個人が反訴(ITmedia News)
  http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0402/19/news013.html


 …すでに,次の駒は動き出している…。

quote:RIAAによって著作権侵害で訴えられたニュージャージー州の女性は,RIAAの行為は恐喝であり,米国の暴力排除法違反に当たるとして反訴した。同法は通常,ギャングや組織犯罪に適用される法律。

 しかし…。先週火曜日に,追加として名前もわからない人たち500人以上を著作権違反で訴えたRIAAもかなり笑えるが,それに対してあなたたちのやり方はギャングと一緒だと逆に訴えるこの女性も笑える。つまるところ,どこにも真剣に討議すべき罪などはない,と考えたい。この女性を批判したい人たちの云うことはわかるが,だがよく考えると,どっちもどっち,ぃゃ,RIAAの行動に女性が合わせただけに過ぎない。100年ぐらいあとには,ただの笑い話ですませられるようなやりとりをしているだけなのだ。ガキのケンカのレベルなのである。

 RIAAに協力するものはすべて悪である,それは,ペプシだろうがアップルコンピュータであろうがすべて同じ(過去記事),という雰囲気が,すでにできている。iTunes ミュージックストアは,いままでの常識を覆す新しい常識と認識されてきたが,スーパーボウルのCMでRIAAに屈した情けない小売り店舗に落ちた。アップルのブランドも,すでにガタ落ちだ。いい流れで欧州や日本で開始できると思ったが,すでにそのアドバンテージはない。そして,もうひとつのナップスターも,ヒューレット・パッカードがiTunesに流れてしまったことで,役員の離脱など,ごたつきがみえてきている(SiliconValley.comの記事)。このままでは両方とも日本で開始される前に,興隆は静まりそうだ。まぁもともと,次へのつなぎでしかなかったのは確かだけど。次がどんなものになるか,もう一度きちんと考えて,おかなくちゃネ。




 
[2004.02.21]
  日常生活と身の丈


 ▼Wi-Fi changes virtually everything(USA TODAY)【英語】
  http://www.usatoday.com/tech/webguide/internetlife/2004-02-18-wifi_x.htm


 「これは,逃げるには死ぬしかない,革命なのですよ」。

quote:ある親子はテレビでフットボールを観ながら,さまざまな分析情報をWi-Fi接続されたラップトップから得ている。ESPN・コムや料理サイトのオールレシピズ・コムは,ソファやキッチンで情報を得るWi-Fiユーザー向けに,サイトのオーバーホールを行ったほどだ。だが,いま使われているWi-Fiは,Wi-Fiにできることの始まりでしかない。今後,すべての種類の装置(ステレオ,コンピューター,照明など)がWi-Fiでつながり,日常生活をネットワークに統合する。

 よくよく考えれば,音楽を購入するのにCDショップに出向かず,アマゾンやiTunes ミュージックストアですませられることも,「日常生活をネットワークに統合」した結果でしかない。動画を売る,雑誌を売る,新聞を売る,テレビを放送する,小説を発表する,芸術作品を発表する,怒りを表す,悲しみを表す,恋愛を表す,ネットワークはすべてを飲み込み,そしてそのあと,リアルにはなにが残っているのだろう? 人の身体だけが,うろうろとしているだけになるんだろう。

 どうも勘違いをしている人が多いようだ。いままでと同じ社会は,未来にはない。これまで安穏と守ってくれたさまざまな保護制度も著作権制度も,未来には存在しない。音楽はまだ未来にたどり着いたわけではないが,それでもこれだけの変化を求められている。ほかのすべても,同じように変化を求められる。いままでと同じことをしていたら,蹴落とされるだけだ。ネットワークを真剣に受け止められないものは,生きている資格がない,のだ。




 
[2004.02.19]
  gigs note


 ▼女性ウイルス作者「ギガバイト」捕まる--「男には負けない」がアダに(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20064367,00.htm


 ギガバイトは,ソービッグの作者逮捕に協力する情報を送ってくれた人に25万ドルを与えるというマイクロソフトの行為(ITmedia Newsの記事)を笑い,最後に云い放っていた。「Bill Gates is Satan.」。

quote:ギガバイトと名乗る女性ウイルス作者が,捜査当局に逮捕され,起訴の処分を受けた。ギガバイトは過去にシャーペイなど4つのウイルスをばらまいたと考えられている。警察は計5台のパソコンを押収し,ギガバイトのウェブサイトも閉鎖した。

 ギガバイトは現在19歳だと云われる。人のウイルスやワームをいじくってもてあそぶスクリプトキディなど,若年のウイルス製作者は多いが,若い女性であること,それを本人自身とても意識していて,初めてウイルスを作成したのは14歳のときだったなど非常に目に付く発言をしていたこと,などで彼女は現在のウイルスコミュニティのなかでもっとも目立っていたことは確かだ。なにせ顔は出さなかったにしても,テレビ取材まで受けるほどだった(TechTVの記事)。

 昨年の12月22日,クリスマスウイルスをつくったとウェブで公表していた。クイズ(コンピュータアソシエイツのページ)と呼ばれるウイルスで,まぁ悪いこともするっちゃあするけど,実行させて遊ぶには楽しいものだった。ギガバイトは,メールに添付されているウイルスをすぐにダブルクリックしちゃう人間なんてバカなんだから,とよく云っていた。先日からのマイドゥーム(Impress INTERNET Watchの記事)もそうだけど,よくアンチウイルスソフトメーカーもこんな人たちに飽きずに付き合ってられるなと毎度思うほどだ(まぁお金になるからだろうが)。いつまで経っても変わらないパソコンユーザーに対して,彼女のような笑える,発言力も激しくあるウイルス作者は,いてしかるべきだと思う。




 
[2004.02.17]
  mini to go.


 ▼IPod mini's a small wonder, but its price is just too big(SiliconValley.com)【英語】
  http://www.siliconvalley.com/mld/siliconvalley/7965018.htm


 iPod miniで鳴り始める音楽もある。

quote:アップル社iPod miniはクールでカラフルな小さな驚異だが,249ドルという価格はちょっと高すぎる。iPod miniはおそらく今週金曜日に,米国の店舗で販売される。普通のiPodに比べてボタンが4つ減ったが,操作感はiPod miniの方が上だ。iPod miniにわたしが苦情を云いたいのは,価格だけだ。

 彼女はボクの持っていたiPodをみても,特に興味も示さなかった。もともと,パソコンもそんなに使わない人で,仕事で使う以外で自宅のパソコンにさわることもほとんどなかった。そして彼女は,音楽もほとんど聴かない。映画が好きで,週に1回は映画館に行っているぐらいだが,音楽はその映画のサントラを聴くことがあるくらい。流行りものにあまり興味を示さない彼女らしかった。が,その彼女がiPod miniを買った。

 「どうしたの? 急に」と訊くと,「あなたがいいって云ってたんぢゃない」と答えていた。まぁ冬のボーナスの使い道に迷っていたのかもしれない。iPod miniは,彼女にはぴったりのサイズだ。ボクのような男性なら胸ポケットにiPodを入れていても問題はないが,女性にはちょっとかさばる。でもiPod miniなら,彼女の手のひらに隠れるサイズだ。普通のiPodの背面の金属部分は指で触れると指紋がついてしまうけど,iPod miniはパワーブックと同じ材質で覆われていて,より上品だ。4GBというハードディスク容量は,ボクのiPodに入っている音楽ファイルも全部入ってしまうくらいなので,まぁ十分だろう。彼女は,iPod miniに色を合わせた青いミニポーチにちょっとうれしげにiPod miniを入れ,ヘッドフォンを耳に当てた。まだぎこちなさが残るしぐさを,残しながら。




 
[2004.02.15]
  商売,売るべきものは


 ▼新たな収入源を評価してみる(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-716.html#lnk3


 さて,どんな商売をしなければいけないか,なんとなくわかる気がしてきたが。

quote:TidBITSが細りかけていた収入減を増やそうと,いくつかの試みを始めた現状報告を書かせていただく。グーグルのアドセンスには,大きな期待をかけていて,当初はなかなか有望なものにみえた。だが残念なことに幾週か経つと,1日にカフェラテ1杯分ほどになって,ほかの広告に変更した。これはアドセンスに問題があるのではなく,TidBITSの読者層が一定で安定しているのが理由だった。読者から小額を直接送金してもらうPayBITSは,100ドル以上のお金が集まることもあれば,ほとんどないこともある。

 日本でもグーグルのアドセンスが開始され,あちこちのサイトでみかけるようになった。いままで広告なんて思いもしなかったようなサイトもつけていたりしてちょっと驚きもあるほど,あちこちでみかける。まったく無関係の広告が掲載されるのでなく,サイト内容に合うものが掲載される,というのも好感を持たれているのだろう。わたし自身は,アドセンスも含めウェブ上の広告をクリックした記憶はいくらさかのぼってもないような気がするんだけど,まぁ世の中にはクリックする人もいるんだろう。

 ほとほと,ネット上でお金を得るのは難しいと思う。iTunes ミュージックストアなど成功しているらしいぢゃないかと云われるかもしれないが,実際のところ,iTunes ミュージックストアで買われる数万倍(または数億倍か?)以上の曲がタダでやりとりされている。ぶっちゃけた話,わたしだってタダでやりとりしていないかと云えばしてるのだが,でもCDも買っているしDVDも買っている。TidBITSのPayBITS(過去記事)にも送金している。それはなぜか? と考えると,ただリスペクトなのである。作り手への敬意,作者への敬意。モノを買っているのではなく,作り手,作者を敬う手段でしかない。iTunes ミュージックストアで曲を買う人も,たぶん曲が欲しい,という人は限られるような気がする。感謝としてのお金,でしかない気がする。アドセンスなどの広告やペプシのキャンペーンなどで,身銭を切らずに敬えるのならなおありがたい。つまり。ネットワークでお金を得る手段は,敬われることとイコール,ですか?




 
[2004.02.13]
  寂しさのなかの人間


 ▼Programmer Sets Up Mask for File-Sharers(Zeropaid.com)【英語】
  http://zeropaid.com/news/articles/auto/02112004b.php


 「ボクは彼女の顔をみたことがない。彼女はいつもマスクをしているし,ボクもしている。でもボクは彼女に恋をしていて,彼女の愛もいつも感じる。恋愛に顔形は関係ない。ボクと彼女は,たぶん世界一,それを知っている」。

quote:ワイアット・ワシセック氏は,ファイル共有ソフトを使う人々のインターネット・アドレスを隠すAnonXというサービスを提供している。月5.95ドルでAnonXは利用可能で,ユーザーのパソコンとファイル共有ネットワークなどの間に入り,ファイル共有ネットワーク側からはユーザーのアドレスはわからない。ワシセック氏はユーザーのアドレスを暴露することはないと約束している。

 誰も顔を表わさず,みんながマスクで顔を隠しているような街があったら,どう思うだろう。それは異常な社会だろうか? 人など結局は信用できるものではない。当然の,社会だろうか? AnonXは,簡単に云うと有料プロクシみたいなものだ。が,ファイル共有でやりとりするデータはすべてワシセック氏の元を通るわけで,有料なのはその帯域幅を利用するのに仕方ないのでは? と云う人もいる。だがこれは,ミュートのような匿名のファイル共有ネットワークがきちんとできるまでの代替手段として使われることだろう(ミュートはWinnyに似た匿名性を持った,オープンソースのファイル共有ツール)。

 ネットワークはもともと,匿名性などかけらもない世界だった。メールを送った相手もウェブをみにきた相手も,すぐに全部わかる。悪い人間が入ってくることなど,考えてもいないような世界だった。が,人間はそんな生き物ぢゃない。ネットワークを牛耳ろう,自分の思い通りにならないものは破壊しようとし続けている人間は山といる。だから,そんな人間と係わり合いを持たないために,なんらかのマスクが必要なのだ。寂しいと,しても。




 
[2004.02.11]
  あしたが来る前に


 ▼Requiem for the Record Store(washingtonpost.com)【英語】
  http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A20620-2004Feb6


 昔を懐かしむのは自由だが,昔に縛りつけられるのは勘弁だろ? 昔の男や昔の女にガタガタ云われるのなんて,うれしい人はひとりもいないんだよ。

quote:レコード店のマニフェスト・ディスク&テープ社は,近年のCD販売下降のなかでも昨年末まできちんと利益をあげていた。が,チェーン店をすべて閉じるという発表をし,音楽好きにショックを与えている。同社のオーナーは,会社の見通しは暗いと述べているが,タワーレコードの経営破綻のようにほかのレコード店も状況は同じだ。アマゾン・コムのようなオンライン店舗がRIAAの調査ではCD市場の3%を占めていると云うし,iTunes ミュージックストアなどのダウンロード販売市場はまだ小さいが,市場調査会社は5年後には音楽市場の1/3を占めると予想している。これは音楽業界にとっては悪いニュースじゃないが,レンガとモルタルのレコード店にとっては死亡宣告となる。

 いままでレコードを売っていた店がCDを売るようになったときは,ただ棚の大きさを変えればいいだけだった。でもダウンロード販売への変更は,いままでのレコード店はもういらなくなる,ことになる。街中のどこからも音楽を売っている風景は消える。音楽を買うために,バスや電車に乗る必要は,もうない。それは,寂しい気分もちょっとあるけど,でも仕方のないことでしかない。レコードを置くための棚を,いま買い取るような人はいないんだから。

 「消費者はCDを捨てる。関心があるのは,歌でしかないのだから」と記事にある市場調査会社の報告書には書かれていると云う。記事中にもあるが,これはほかのモノを売るお店も同じだ。米国の旅行代理店はウェブで航空券が買えるようになってしまったことなどで,過去3年間で30%が閉店したと云う。書店もそうなるし(すでになっているか),家電の店だって,衣服の店だって,食料品の店だって,すぐに嵐がやってくる。もう,数年も前からわかっていたことだ。_ネットワークがすべての流通となる_,例外はない。もしあなたが,なにかモノを売るお店に関係しているのなら,もう一度,将来のことを考え直すべきだ,あしたが来る前に。




 
[2004.02.09]
  大戦のあとさき


 ▼Music industry targets Australia(SiliconValley.com)【英語】
  http://www.siliconvalley.com/mld/siliconvalley/7895405.htm


 もともと,戦争にならない世界大戦に,終わりもなければ始まりもない,よね。彼らは,いったいなにと戦っているんだ?

quote:ファイル共有ツールのカザーを運営するシャーマン・ネットワークス社は,オーストラリア(豪州)のシドニーオフィスが捜索を受け,コンピュータが押収された。これは,オーストラリアの音楽業界がシャーマン・ネットワークスに著作権侵害訴訟を起こすと同時に,裁判所の許可を得て行われた。また音楽業界は,3つの豪州の大学,4つの豪州のプロバイダーにも捜索に入っている。

 豪州のこの件のほかにも,いくつか大きな動きがある。Zeropaid.comの記事によると,ファイル共有ソフトのeMuleにアップされたファイルの情報を掲載するイタリアのサイト,enkeywebsite.netが警察によって閉鎖された。米国ではグラミー賞で音楽著作権侵害を問題視するCMが流され,What's The DownloadというサイトのURLが示された(Yahoo! Newsの記事)。そのサイトでは,音楽をタダでダウンロードするというのはどういうことか,が(あえて冷静に)述べられている。メッセージボードも設けられているが,音楽業界はちゃんとアーティストと消費者のことを考えてきたのか? という書き込みもあって笑える。このサイトは,そもそも音楽をダウンロードすることが悪いことだとわかっていない人のために作った,らしいが…。

 カザーの豪州での事件をとらえて,「これは,世界大戦の始まりである」と述べるユーザーがいる。「まだカザーでは360万人がファイル共有を行っている。我々は絶対にこれをやめることはない」と述べるユーザーがいる。「このカザーオフィス襲撃は政府によって認可されたものぢゃない。まったく不法で,豪州の音楽業界はゲシュタポだ」と述べるユーザーがいる。…どうも,同時に起こっているこれらの動きは,いかがわしい匂いがプンプンしてくるな。だがね,ファイル共有がなくなってインターネットが残るなんてことはないんだよ。そんなの,幼稚園児だってわかるだろう。このバカな争いは,いつまで続くんだ? よっぽど,戦争をしたくてたまらない人間ばかりなんだな。




 
[2004.02.07]
  騒雑の無音


 ▼何も聞こえない!--無音の曲を本当に販売しているiTunes Music Store(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20064175,00.htm


 いや,それはすべてのページが白紙の本と一緒で,ほかの音楽がおしなべてすべてやかましいからこそ,意味があるんかもしれんけどね。

quote:iTunes ミュージックストアで販売されている数十万曲のなかには,音のない曲が少なくとも9曲ある。いちばんのお買い得をお探しの方には,2分近くも無音のビル・シェーファーの「サイレンス」をお勧めする。過去のもっとも有名な無音の曲は「4'33」で,4分30秒間ほど無音を聞かせるものだ。

 小説とかやったら,ええ表現やなとか,こんな身につまされる比喩があるんかとかあるかもしれん。こんなふうにおもろい方に転がってくストーリーなんて考えられんと驚くこともあるだろう。映画は,ストーリーを語ることももちろんできるし,映像表現の言葉もさまざま云い尽くされとる。映画の論評を読めば,その映画がなぜいいのか,どうして人々の支持を受けとるのか,きちんとわかる。でも音楽は,そんなきちんと言葉で説明されていることがほとんどない。出だしがええなぁとかサビがええなぁと云ってても,どぉええん? と訊いても誰もなんも答えられん。ええからええんぢゃいで終わりで,さっぱり話にならん。

 音楽を評論する人間が,なんも言葉を持っとらんからやと云う人もいる。別の人は,音楽は言葉で表現できんもんなんやからしゃあないと云う。だがな。4分30秒の無音の「4'33」をきいたあと,なんでこの曲がいいのかしゃべる言葉はいっぱい出てきた。孤独,寂寞,空疎,不安,狂乱,錯乱,凝聴…。音のあるほかのすべての音楽よりも,音のない音楽の方が伝わってくるものがえらい多いっつぅのはどぉいうこと? 最近の曲は特にやけど,なんも説明の言葉も浮かんでこん曲ばっかりになっとるのは,結局音楽の作り手が全然魅力のあるもん作れてないっつぅことなんとちゃうの?(追記:ビル・シェーファーの「サイレンス」は,CNETの記事掲載後,アルバムでのみの販売となり,単曲での販売はなくなりましたとさ(^^ゞ)




 
[2004.02.05]
  図書館員の目鼻手のひら


 ▼Monster librarian at work(SiliconValley.com)【英語】
  http://www.siliconvalley.com/mld/siliconvalley/7870991.htm


 あの日,図書館員のお姉さんは,まるで本のなかから抜け出てきたかのように,目的の情報へと導いてくれた。あのとき,ボクは彼女の手をぎゅっとにぎって,ちょっとだけ目を閉じて,そしてまぶたをあけてみればよかったのかもしれない。そこは,きっと。

quote:IBM社のアルマデン研究センターの地下室では,何百台ものコンピュータが,1週間当たり2億5000万のウェブページを収集している。その51万GBのデータは,ウェブファウンテンと呼ばれる分析ツールで処理される。ウェブファウンテンは優秀な図書館員さえもみつけることができないような情報を探し出し,たとえば企業からの依頼で新製品の評判などの報告書を作成する。

 一流のリベラリアン(図書館司書)は,情報の匂いを嗅ぎ分けることができる。調べたいことの答えは,どこかの本のなかに書かれている。だが,その本をどのように探し出すか,が問題だ。そのまんまのタイトルの本があれば簡単だが,同じ著者の本のどこかにあるかもしれないし,専門的な出版社であれば同じ出版社の本にも目を配る必要がある。そうして情報の匂いを嗅ぎ分け,1冊を探し出す。

 グーグルを使うのには,やはり一流のリベラリアンと同じように情報を嗅ぎ分ける力が必要とされる。キーワードを変化させたり,オプションを追加したり,キャッシュで目的の言葉をすぐに確実にみつけたり,ちょっとだけ表示されている引用文から確かな答えの書かれているページをピックアップしたり。ウェブファウンテンがどれほど一般にはみつけられない答えを探し出す能力を持っているかはわからないが,わたしたちにはたぶんグーグルの方が身の丈に合っているだろう。ネットワーク上には必ず答えがある。ただ,それを探し出す力があるか,どうか,それだけだ。




 
[2004.02.03]
  いま,がむしゃらに


 ▼Double Jeopardy for kids caught in Pepsi Apple promo(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/content/6/35259.html


 強固な敵に,がむしゃらであれ。

quote:RIAAによって著作権侵害訴訟に巻き込まれた4人の子どもが,アップル社ペプシ社の強要でスーパーボウルのCMに出演させられ,恥をかいた。アップルは20年前,独裁者を破壊するスーパーボウルのCMでコンピュータは個人の想像力を増大させると訴えた。が,今年のCMではRIAAによる著作権強化に加担し,個人の自由を縮小させることをにおわせた。

 ニューイングランド・ペイトリオッツは,米国の危機になるとスーパーに戻ってくると云われる。2年前,米国同時テロの年に,多くの評論家の予想を裏切ってスーパーにやってきて,そして歴史に残る最強オフォンスと云われたセントルイスをけ散らして勝利を収めた(過去記事)。そして,イラク戦争の今年,やはり愛国者(ペイトリオッツ)を名乗る集団はスーパーに戻ってきた。だが,2年前と違い,ニューイングランドの地力は誰もが認めるところ,順当勝ちで勝ち上がってきた。

 そのあまりの強固な力に対し,カロライナ・パンサーズはQBをはじめとするメンバーにも若さが感じられ,がむしゃらさで挑んでいったように感じた。チーム創立からまだ10年にも満たない,ニューイングランドがスーパーを勝った2年前のシーズンでは,史上最悪の15連敗を喫した。そこから大復活を果たしスーパーにたどり着いた。大接戦を演じたものの,どこかニューイングランドの手のひらの上から逃れられないまま,ゲームは終わってしまった感がある。奇跡は起こらなかった。が,カロライナはあしたを感じさせるチームだった。1勝15敗の2年後に,14勝6敗,スーパーを両手でつかみかけるほどに駆け登ったその気概を噛み締めたい。




 
[2004.02.01]
  はじまりのいま


 ▼RIAA訴訟のターゲットも登場するペプシ-iTunesキャンペーン(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/01/30/006.html


 数年後,そういえば,これが始まりだったなと,気付く。

quote:ペプシ社は2月1日のスーパーボウルで放送する「ペプシ iTunes」キャンペーンCMの内容を公開した。CMにはRIAAに提訴された16人のティーンエイジャーも出演している。使う当てのない当選キャップの寄付を募る,チューン・リサイクルというサイトも登場し,レーベルではなくよりミュージシャンへの還元となる楽曲を購入するそうだ。

 CMのミラーは,MacRumors.comの記事などに集められている。たぶん,そう,ナップスターが現れたときから,もうみんな気付いていたんだ。音楽をお金を出して買うことのバカばかしさを。そしてなにか変化が必要だとみんなが云ってきた。だが,音楽業界は日本でのコピープロテクトCDのような,なんの意味もないことで時間を潰してきた。

 たぶんこのペプシのキャンペーンが,最終結論になるんだろう。ハンバーガーのマクドナルドが同様のキャンペーンを考えているという噂もあるが,ほかの企業も参入してくるだろう。それによって,やっと音楽はまともに生きる術をみつける。いままでのような,ファンをだまして金をせしめるような売り方をしないでよくなる。ホントは音楽業界が自分でこの道を開くべきだったろうが,結局なにもできず,ただ流されてここに行きついた。動画や出版などにも同じときがくるんだが,音楽業界のようなミジメな姿をみせないで欲しいものだ。




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